組織変革には、非常に異なる2つのアプローチがある。
まず、「静かな海」アプローチでは、組織とは、港に向かって静かな海を旅する大きな船のようだと考える。船長はこれまで、同様の航海を同じ乗組員と数多く行っている。たまに嵐に遭遇し、乗組員は対応を迫られる。船長は変革を実施し、嵐を切り抜けて、静かな航海に戻る。つまり、このアプローチでは、組織変革は現状の急な変化への対応であり、たまに必要になるだけであると考える。
一方で、「急流の早瀬」アプローチでは、組織は大きな船というよりも、いかだだと考える。そして、いかだは、静かな海ではなく、絶え間なく波立つ急流の早瀬が続く川を横切らなければならない。さらに、いかだには、これまで一緒に仕事をしたことのないメンバーが乗っており、この川を旅した経験のあるものもいない。ほとんどの場合、真っ暗な中で旅をしなければならず、川には障害物があり、また、目的地も明確ではない。このアプローチでは、変革は常に起きている状態であり、変革のマネジメントは継続的なプロセスととらえられる。
参考文献:『組織行動のマネジメント』ステファン・P・ロビンス著、高木晴夫訳