チームビルディング用語集

意思決定の実際


意思決定とは、「ある目標を達成するために、複数の選択可能な代替的手段の中から最適なものを選ぶこと」、と説明されることからも、確かに、合理的な意思決定プロセスは、1.問題の認識、2.判断基準の特定、3.判断基準の重みづけ、4.代替案の考案、5.代替案の評価、6.決定、をたどるとされている。

しかし、実際の組織における意思決定は、合理的意思決定プロセスのとおりには進まない。例えば、あらゆる可能性を考えるのではなく、満足できれば十分である、というスタンスで情報を処理することが多い、あるいは、問題の複雑なすべての面を捉えるのではなく、単純化されたモデルの範囲内で行動したり、さらに、最初に見つかった受け入れ可能な選択肢が、満足できる選択肢として選び出されることが多い等、「制約された合理性」に基づいて、意志決定されることがほとんどとなる。

他にも、目に見える問題が重要なものとして選ばれる確率が高くなったり(認識しやすく、取り組んでいるところを他人にアピールできる)、以前の意思決定に引きずられ、当初の意思決定の誤りを正せなくなる状態(コミットメントのエスカレーション現象)にも陥ることもある。さらに、組織の制約が意思決定者に影響を及ぼす(業績の評価、報酬システム、時間的制約、先例などが影響する)こともある。

参考文献:『組織行動のマネジメント』ステファン・P・ロビンス著、高木晴夫訳