チームビルディングに役立つ技術(7)
前回
チームビルディングのための「ほめる技術」をご紹介しました(詳しくは、リンク先をご覧ください)。
今回は、チームビルディングのためのさらに実践的な「ほめる技術」をご紹介したいと思います。
【構成(目次)】
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チームビルディングに役立つ「ほめる技術」とは
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注意点1(チームビルディングに役立てる前に)
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ほめる技術が登場した背景
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チームビルディング実施前の簡単なチェック
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チームビルディングに役立つほめる技術の効果(目的)
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チームビルディングのための「ほめる技術」
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チームビルディングのためのさらに実践的な「ほめる技術」(今回は、こちらです!)
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注意点2:チームビルディング実践編
【チームビルディングのために、ほめようとしても・・・】
いくらチームビルディングやその他の目的のために、ほめることが有効といわれても、思わず「ほめたくない」と思ってしまうことは誰しもあると思います。そこで、今回はそうしたときに活用いただける技術をいくつかご紹介します。
その前に、他のメンバーや部下を「ほめたくない」と思う気持ちは、誰にでも起こりうる、ごく当たり前の感情です。人間の当然な心理として、受け止めてあげることは大切です。ほめたくないと思ってしまった、と自分を責める必要は全くありません。「ほめたくなければ、ほめなくていい」のです。
自然なコミュニケーションの方が大切。こうしたコラムを読んだからといって、無理にほめる必要はない。ただ、人間誰しも自分を認めてくれる人と良い関係になるので、仕事やチームビルディングといった場に限らず、家庭や友人などとの関係でも、長所と成長への選択的知覚を意識してみるといいかもしれません。
【チームビルディングを意識しない】
ほめたくないときは、チームビルディングのために、ほめなければ、と思わずに、まずは、選択的知覚のトレーニングを行うのだ、と考えてみるのも一つです。
新しいアイデアを生み出すための有名な方法のひとつに、カラーバスという手法があります。カラー(色)を、浴びる(バス)ことで、思わぬアイデアを生み出す方法なのですが、その日のテーマカラーを決めて街を歩き、同じカラー同士を組み合わせて発想してみます。これは、新しいアイデアとは既存のアイデア同士の新しい組み合わせである、という視点で、思わぬものを組み合わせる手段として、色に着目をしている面白い方法です。
このカラーバスで行われているのは、色による選択的知覚です。その日のテーマカラーに基づいて、街を観察し、同じカラーのものを選択的に知覚しているわけですが、この選択的知覚のトレーニングとして、人や物や出来事などの「強み」「良いところ」を選択的に知覚する、ということを行ってみてはいかがでしょうか。チームメンバーや、お客様のセリフ、朝のニュースや新聞記事など、様々なヒト・モノ・コトの、強みを選択的に知覚してみるのです。
ほめなくてもいいのですが、強みに目を向けていると、自然とほめたくなったり、ほめるような言葉が出てきたりします。
【チームビルディングのためのほめる技術】
長所を選択的に知覚するのも、大変だ、嫌だという方もいらっしゃると思います。そんな場合は、そんなメンバーと、「目を合わせる」「挨拶する」だけで結構ですので、行ってみてください。
これは、チームビルディングのための「ほめる技術」でもご紹介した、相手の存在を認める(認知)ことにつながります。これまで目を見ずに話していた相手の目をみるだけで、人は自分の存在そのものを認めてくれたことに対して、一定の好意を抱きます。まずはここから、チームビルディングをスタートさせてみてはいかがでしょうか。
【もっとチームビルディングしたい方には】
逆に、もっとできる、という方には、相手の話を聞く、ということをおすすめします。ここでいう聞くとは、もちろん聞き流すという意味ではなく、しっかりと受けとめ、受け入れる聞き方です。相手に聞いていることがきちんとわかるように、豊かな反応を返しながら、聞いてあげてください。つい話の内容ばかりに集中しがちですが、内容の理解とともに、自分の反応に気を配ってみましょう。
話に耳を傾けてくれる相手に対し、関係性は改善されていくことがほとんどですので、直接的なチームビルディングの効果を期待することができます。
さらに、チームビルディングの効果を強く出したい方には、ヒーローインタビューという方法がおすすめです。野球の試合などで活躍した選手にインタビューを行っていますが、そのようなイメージで、相手の方がこれまでに成し遂げた過去の成功体験について、じっくりと聞いてみましょう。まずは事実について聞き、それから徐々にその時の気持ちなど感情について聞いていく順序で行うとスムーズにいきます。
【チームビルディングをチームで行う】
さて、チームビルディングに有効な「ほめる」を行うのは、何も皆さん一人だけに限る必要はありません。チームの仕組みとして、チームビルディングが行われるような状態にしてもいいわけです。
たとえば、互いをほめる時間をとったり、ペアでヒーローインタビューを行ったり、メンバーの良いところを皆で集めてみたり、とやれることは色々とあると思います。
ただ、その前提として、チームの状態がある程度良好であることが求められますので、まずは「チーム内の会話を増やす」ところから始めてみてください。そのために効果的な方法がチェックインといわれるワークです。
チームミーティングに入る前などに、今の気分や最近あった出来事など、通常「雑談」と思われるような情報を一人数十秒で結構ですので、シェアしてみてください。話したくないメンバーは話す必要はありません。資料の準備などももちろん不要です。カジュアルな感じで、「それじゃあ、チェックインやりましょう。えーっと、僕は・・・」といった雰囲気で行います。このことで、自然とチームメンバーの情報が集まり、会話が増えていきます。
他に、他己紹介の仕組みをチームに取り入れることも効果的です。メンバー同士のお休みの過ごし方を互いにインタビューして全員に他己紹介形式で紹介したり、簡単な業務でもかまいませんので、何かのタスクをペアで行わせ、経過報告を他己紹介の形でミーティングの席で行うなど、様々な方法が考えられます。
以上、チームビルディングなど、様々な場面で活用いただける「ほめる技術」についてご紹介しました。
次回は、
注意点2:チームビルディング実践編をご紹介します。